御朱印・お守り・おみくじの楽しみ方|神社の授与品完全ガイド

はじめに:神様とのご縁を「形」にして持ち帰る
神様へのご挨拶を終え、清々しい気持ちで境内を歩いていると、ふと「 授与所 」が目に入ります。
そこには、色とりどりの美しいお守り、墨の香りが漂ってきそうな御朱印の見本、そして神様からのメッセージが記されたおみくじ・・・。
参拝の思い出を彩る、心惹かれる品々が並んでいます。
しかし、いざいただこうとすると、
- 「御朱印って、どうやってお願いすればいいんだろう?」
- 「お守りをいくつも持っても大丈夫かな?」
- 「去年のお守り、どうすればいいんだっけ・・・」
と、次々に素朴な疑問が浮かんできませんか?
授与品は、参拝の楽しみをぐっと深めてくれる素晴らしいもの。
だからこそ、その意味や扱い方をきちんと知って、もっと神様とのご縁を大切に育んでいきましょう。
授与品は単なるお土産じゃない?
私たちが神社で手にするこれらの品々は、まとめて「 授与品 」と呼ばれます。文字通り、神様から「授けていただく品」という意味です。
そのため、授与品を手にする時、私たちは「買う」とは言わず、「お受けする」とか「 授 かる」と表現します。
お金を払ってモノを手に入れるのではなく、神様の「 御神威 」(=神様の力やご加護)が宿ったありがたい品を、初穂料と引き換えに分けていただく、という考え方が根底にあるからです。
御朱印もお守りも、単なる記念品やお土産ではありません。
一つひとつが、あなたがその神社を訪れ、神様とご縁を結んだ大切な「しるし」なのです。
そう思うと、自然と「大切に扱おう」という気持ちが湧いてきますよね。
この記事でわかること:いただき方から返納まで
この記事は、神社で授与品をお受けする際に初心者が抱きがちな、あらゆる疑問にお答えするための完全ガイドです。
- 【御朱印】 いただき方のマナーから、御朱印帳の選び方まで
- 【お守り】 ご利益別の選び方、持ち方、有効期限
- 【おみくじ】 吉凶よりも大切なメッセージの読み解き方
- 【絵馬・お札】 願い事の書き方や、家での祀り方
- 【返納】 役目を終えた授与品の、感謝を込めたお返し方
それぞれの授与品について、「いただき方」から日々の「扱い方」、そして最後にご加護に感謝して「お返しする(返納する)」まで、一連の流れを丁寧に解説していきます。
この記事を読み終えれば、授与品に関する不安はすっかり解消され、自信を持って神様とのご縁のしるしをいただけるようになっているはずです。
【御朱印編】参拝の証をいただく喜び

神社巡りの楽しみとして、近年特に人気を集めているのが「 御朱印 」です。
墨で書かれたダイナミックな筆文字と、鮮やかな朱色の印。アートのようにも見えるその美しさに、思わず心惹かれますよね。
御朱印集めを始めると、参拝の記録が目に見える形で残り、神社を訪れるのがもっと楽しくなります。
ここでは、そんな御朱印の魅力と、初心者でも安心して始められる基本の知識とマナーをご紹介します。
御朱印とは?キホンの知識と心構え
御朱印は、その神社を参拝した証として授与される、神様の分身ともいえる神聖なしるしです。
一般的には、参拝した日付、神社名、そして祀られている神様のお名前や印などが記されます。
元々は、お寺に写経を納めた際の受付印だったものが、神社にも広まったとされています。
そのため、御朱印集めは単なるスタンプラリーとは全く意味合いが異なります。
御朱印をいただく上で最も大切な心構えは、
必ず、先に神様へのご参拝を済ませる
ということです。
御朱印はあくまで「参拝の証」。
神様にご挨拶もせず、御朱印だけをいただくのは本末転倒です。まずは心を込めて参拝し、その後に授与所でお願いするようにしましょう。
STEP1:まずは「御朱印帳」を準備しよう
御朱印は、専用のノートである「 御朱印帳 」にいただくのが基本です。
メモ帳や普通のノートにお願いするのはマナー違反ですので、必ず御朱印帳を用意しましょう。
- どこで手に入る?
多くの神社の授与所で、その神社オリジナルの御朱印帳を授与しています。旅の記念に、最初に参拝した神社でいただくのも素敵ですね。その他、大きな文房具店や書店、インターネット通販などでも様々なデザインのものが販売されています。 - 初めての御朱- -印帳選びのポイント
- デザインで選ぶ: 神社の刺繍が施されたもの、モダンな和柄、キャラクターものなど、デザインは多種多様。自分が「これだ!」と心惹かれる一冊を選びましょう。
- サイズで選ぶ: 一般的な文庫本サイズと、それより一回り大きい大判サイズがあります。迫力ある御朱印をいただきたい方は大判がおすすめです。
- 紙質で選ぶ: 墨が裏写りしにくいよう、厚手の「奉書紙(ほうしょがみ)」が使われているものがほとんどです。
お気に入りの一冊を見つけるところから、あなたの御朱印巡りは始まります。
STEP2:いただき方の流れと参拝マナー
御朱印帳を準備したら、いよいよ御朱印をいただきましょう。慌てず、丁寧な作法を心がければ何も難しいことはありません。
何よりも先に、神様にご挨拶をしましょう。
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境内の「授与所」や「御朱印受付」「社務所」などで受け付けています。
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書いてほしいページを開いて渡すと、相手の方がスムーズに対応できます。
ビニールカバーなどは外しておきましょう。
「御朱印をお願いいたします」と一言添え、両手で丁寧にお渡しします。
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神職の方が一文字一文字、心を込めて書いてくださっています。その間は、大声でのおしゃべりは控え、静かに待ちましょう。
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書き終えた御朱印帳を、両手でありがたく受け取ります。
定められた初穂料(300円~500円が一般的)を納めます。「ありがとうございます」と感謝の気持ちを伝えましょう。
知っておきたい!「書き置き」と「限定御朱印」
御朱印には、御朱印帳に直接書いていただく「直書き」の他に、いくつかの種類があります。
書き置き
あらかじめ和紙に書かれた御朱印のこと。
神職の方が不在の時や、混雑時などに授与されることが多いです。
いただいた後は、御朱印帳の対応するページに、シワにならないよう糊やテープで丁寧に貼りましょう。
コロナ禍以降、書き置きで対応する神社さんが増えてきたように感じます。
書き置き専用の御朱印帳を用意するのも一案です。
限定御朱印
お正月や例大祭、季節の節目(ひな祭りや七夕など)に、特別なデザインや色の印が押された御朱印が授与されることがあります。
こうした限定御朱印との出会いも、神社巡りの大きな楽しみの一つです。

正月限定御朱印
いただいた御朱印の保管方法
神様の力が宿った御朱印帳は、粗末にならないよう大切に扱いましょう。
持ち帰る際は、御朱印帳袋やブックカバーなどに入れておくと汚れません。
家での保管場所に厳密な決まりはありませんが、神棚や仏壇がある場合はそこに置くのが最も丁寧です。
ない場合は、本棚や引き出しなど、清潔で目線より高い場所に大切に保管しましょう。
時々ページをめくって、参拝した日の思い出や神様とのご縁を振り返るのも、御朱- -印の素敵な楽しみ方です。
【お守り編】神様のご加護をいつも身近に

神社を訪れた際に、旅の安全や大切な人の幸せを願って、ついつい手に取りたくなるのが「お守り」ですよね。
小さくて色とりどりのお守りは、持っているだけで心が安らぐような不思議な力があります。
この小さなお守り袋の中には、神様の大きなご加護が込められています。
その意味や正しい持ち方を知って、神様からの応援をいつも身近に感じてみましょう。
お守りのキホン:中には何が入っている?
お守りは、美しい錦の布でできた小さな袋が一般的ですが、その袋そのものにご利益があるわけではありません。
大切なのは、その中に納められているものです。
袋の中には、神様の 御霊 が宿るとされる「 御神札 」や「 内符 」と呼ばれる、木や紙、布などでできた小さなお札が入っています。
この御神札を通して、私たちは神様のご加護をいただくのです。
そのため、お守りの袋を興味本位で開けて中を見るのは、神様に対して大変失礼にあたる行為とされています。
袋を開けてしまうと、中の御神札に宿ったご利益が逃げてしまうとも言われていますので、絶対に開けないようにしましょう。
また、お守りは「買う」と言うよりも、神様のご神威を分けていただくという意味で「お受けする」または「 授 かる」と表現すると、より敬意が伝わります。
どれを選ぶ?ご利益別の種類と選び方
授与所には、実にさまざまなお守りが並んでいます。どれを選べばいいか迷ってしまいますが、基本的には自分の願い事に合ったご利益のものを選ぶのが良いでしょう。
- 健康・身体安全: 病気平癒、長寿守、身代わり守など
- 縁結び・恋愛: 縁結守、恋愛成就守、夫婦円満守など
- 学業・仕事: 合格守、学業成就守、就職成就守、商売繁盛守など
- 交通安全: 交通安全守(ステッカータイプや吸盤タイプも)
- 厄除け: 厄除守、方位除守など
もちろん、「このデザインが素敵だな」という直感で選ぶのも、そのお守りとのご縁です。
大切なのは、心を込めて選び、神様のご加護を信じる気持ちです。
Q&A:お守りをたくさん持っても大丈夫?
A. はい、全く問題ありません。神様同士がケンカすることはありません。
「たくさんお守りを持つと、神様同士がケンカしてしまう」
という話を聞いたことがあるかもしれませんが、これは迷信です。
日本の神様は、他の神様を敬い、互いの働きを認め合う、とても心の広い存在(八百万の神々)です。
縁結び、交通安全、健康長寿など、それぞれのお守りが持つご利益は異なりますから、様々な神様からご加護をいただくことは、決して悪いことではありません。
大切なのは、一つひとつのお守りを粗末にせず、それぞれに感謝の気持ちを持って大切に扱うことです。
お守りの効果的な持ち方と有効期限
お守りは、神様のご加護をいただくためのアンテナのようなもの。
できるだけ常に身につけておくのが最も効果的です。
カバンや財布、スマートフォンなど、毎日持ち歩くものにつけるのが良いでしょう。
学業成就なら筆箱や学生カバンに、交通安全なら車のキーや車内に、というように、願い事に関連するものにつけるのもおすすめです。
そして、お守りのご利益には、一般的に「1年間」という有効期限があるとされています。これは、1年経つと効果が切れるという意味ではありません。
1年の間に、お守りは持ち主の身代わりとなって様々な災厄や穢れを吸い取ってくれていると考えられているため、1年を目安に新しいお守りをお受けし、気持ちを新たにするのが良い、とされているのです。
【おみくじ編】神様からのメッセージを受け取る

参拝を終えた後の楽しみの一つといえば、やはり「おみくじ」ではないでしょうか。
筒を振って棒を出す時のドキドキ感、そして紙を開く瞬間のワクワク感は、大人になっても変わらないものですよね。
「大吉が出た!」と喜んだり、「凶だった…」と落ち込んだり。
そんな風に運勢を占うのもおみくじの楽しみ方ですが、実はそこにはもっと深い、神様からの大切なメッセージが隠されているのです。
おみくじで一番大切なのは「吉凶」じゃない?
おみくじを引くと、私たちはまず「大吉」「吉」「中吉」「小吉」「末吉」「凶」といった「 吉凶 」に目が行きがちです。
もちろん、大吉が出れば嬉しいですし、凶が出れば少しがっかりしてしまいます。しかし、おみくじで本当に大切なのは、この吉凶の結果そのものではありません。
おみくじは、今のあなたの状態や行いに対して、神様が送ってくださる「アドバイス」や「戒め」の言葉なのです。
たとえ大吉が出ても、そこに書かれている戒めの言葉を無視して努力を怠れば、運は下降していくでしょう。
逆に、凶が出ても、神様からのアドバイスを真摯に受け止め、日々の行いを改めることで、運勢は良い方向へと切り拓かれていくのです。
吉凶はあくまで「現状の評価」。
本当に読むべきは、その下に書かれている言葉なのです。
書かれていることの読み解き方のコツ
では、吉凶以外のどこを読めば良いのでしょうか。ポイントは2つです。
和歌や漢詩を味わう
吉凶判断の上に、和歌や漢詩が書かれていることがあります。これは、おみくじ全体の意味を象徴する、神様からのメインメッセージです。
一見難しく感じるかもしれませんが、情景を思い浮かべながらゆっくりと読んでみると、今の自分に必要な言葉が心に響くはずです。
各項目を自分事として読む
「願望」「待人」「失物」「旅行」「商売」「学問」「縁談」といった個別の項目は、あなたの具体的な悩みに対するアドバイスです。
「待人:来れどおそし(来るけれど、遅い)」なら、「今は焦らず、自分のやるべきことをして待とう」というように、書かれている言葉を今の自分の生活にどう活かすかを考えてみましょう。
引いた後、結ぶ?持ち帰る?
引いた後のおみくじをどうするか、迷ったことはありませんか?これには、どちらが正解という決まりはありません。
境内に結ぶ場合
神社の境内にある「おみくじ結び所」に結ぶのは、神様との「ご縁を結ぶ」という意味合いがあります。
また、凶など自分にとって都合の悪い運勢が出た場合に、その悪い運気を境内に留めておき、神様のご加護で良い方向へ転じてもらうことを願う、という意味もあります。
持ち帰る場合
おみくじに書かれた神様からのアドバイスを、日々の生活の指針として時々読み返すために、お財布や手帳に入れて持ち帰るのも、とても良いことです。
特に大吉など良い運勢のおみくじは、お守りのように大切に持っておくと良いでしょう。
自分の心にしっくりくる方法を選ぶのが一番です。
Q&A:「凶」を引いてしまった時の心構え
A. 落ち込む必要は全くありません。「これから運気が上がるサイン」と前向きに捉えましょう。
「凶」を引くと、何か悪いことが起こる前触れではないかと不安になりますよね。
しかし、おみくじにおける「凶」は、「これ以上悪くならない底の状態」であり、「ここから運気が上昇していく伸びしろがある」という、むしろ幸運のサインだと考えることができます。
「今のままではいけませんよ」という神様からの愛情のこもった警告と受け止め、書かれているアドバイスを素直に読んで、自分の生活態度や行動を見つめ直す良い機会にしましょう。
「凶」を引いた時こそ、神様があなたに真剣に向き合ってくださっている証拠なのです。
【絵馬・お札編】願いを届け、家を守っていただく

授与品の中には、お守りのように身につけるものだけでなく、神社に奉納したり、家に持ち帰ってお祀りしたりするものもあります。
ここでは、自分の願いを神様に直接届けるための「 絵馬 」と、家や会社全体をお守りいただくための「お札」について、その意味と正しい扱い方をご紹介します。
絵馬:神様へ届ける「願いの手紙」の書き方
「絵馬」とは、願い事などを書いて神社に奉納するための、馬などの絵が描かれた木の板のことです。
昔の人々は、神様が馬に乗って人間の世界にやってくると信じていました。
そのため、祈願の際には貴重な生きた馬を神様に奉納する「 神馬 」という風習がありましたが、これは誰もができることではありません。
そこで、次第に本物の馬の代わりに、馬の絵を描いた板を奉納するようになったのが、絵馬の始まりです。
絵馬は、いわば神様へ直接お送りする「手紙」のようなもの。心を込めて、あなたの真剣な想いを綴りましょう。
●願いが届きやすくなる、書き方の3つのコツ
- 願い事を具体的に書く:
漠然とした願いよりも、「〇〇大学〇〇学部に合格します」「〇〇さんと幸せな家庭を築けますように」など、できるだけ具体的に書くのが良いとされています。 - 決意表明(誓い)を添える:
「~してください」という一方的なお願いだけでなく、「そのために、毎日〇〇の努力をします」といった、自分自身の決意や誓いを書き添えることで、あなたの真剣な気持ちが神様により深く伝わります。 - 住所と名前を書く:
神様が「どこの、誰からの願い事か」を分かるように、住所(市区町村まででも可)と氏名を書くのが丁寧な作法です。個人情報が気になる場合は、イニシャルなどでも構いません。
書き終えた絵馬は、境内に設けられた「絵馬掛け」に、他の人の絵馬を傷つけないよう、そっと結びつけて奉納しましょう。
お札:家全体をお守りいただく神札の祀り方
神社で授与される「お 札 」、正しくは「 神札 」は、家庭や会社に神様をお迎えし、その場所全体をお守りいただくための、いわば「小さな神社」のような存在です。
個人が身につけてご加護をいただく「お守り」とは異なり、お札は家族みんなや、会社で働く従業員全員の幸せと安全を見守ってくださいます。
●お札の正しい祀り方
祀る場所:自宅に「 神棚 」がある場合は、そこにお祀りするのが最も丁寧です。
神棚がないご家庭では、
- 「①目線よりも高く」
- 「②清浄で明るく」
- 「③家族が親しみを込めてお参りできる場所(リビングなど)」
を選んでお祀りしましょう。タンスや本棚の上が一般的です。
お札の向き:
お札の文字が書かれた面が、南または東を向くようにお祀りするのが良いとされています。
これは、太陽が昇る方角であり、明るいエネルギーを取り込むという意味合いがあります。
複数のお札を祀る場合:
三社造りの神棚の場合、中央に日本の総氏神である伊勢神宮の「 神宮大麻 」、向かって右に地域の「氏神様」のお札、左に自分が崇敬する神社(崇敬神社)のお札、という順に並べるのが基本です。
一社造りの場合は、上から「神宮大麻」「氏神様」「崇敬神社」の順に重ねて納めます。
毎日でなくても構いません。お札の前で手を合わせ、日々の感謝を伝えることで、あなたの家は神様のご加護に満ちた、より一層安らかな場所になることでしょう。
【返納編】授与品の役目が終わったら

一年間、あなたを見守ってくれたお守りやお札。願い事が叶った後のお守り。
こうした役目を終えた授与品を、皆さんはどうしていますか?
- 「なんとなく引き出しにしまったまま…」
- 「どう処分すればいいか分からなくて困っている」
という方も、実は多いのではないでしょうか。
神様とのご縁のしるしである授与品は、最後まで感謝の気持ちを込めて、丁寧にお返しするのが日本の美しい習わしです。
ここでは、その「 返納 」の作法についてご紹介します。
なぜ返すの?「古札納所」の意味と感謝の作法
神社の境内には、「 古札納所 」や「古神札納め所」などと書かれた、古いお守りやお札を納めるための場所が設けられています。
授与品をここに返納するのは、単なる「処分」ではありません。
これは、一年間自分たちをお守りくださったことへの感謝を神様にお伝えし、神様のお力が宿った品を、失礼のないようにお返しするための、大切な感謝の儀式なのです。
納められた授与品は、後日神社によってお祓いがされた後、丁重に「お焚き上げ(おたきあげ)」という神事によって浄火で燃やされ、神様の元へとお還りになります。
ゴミ箱に捨ててしまうのではなく、最後まで敬意を払う。
この作法を通して、私たちはいただいたご加護への感謝の気持ちを、形として表すのです。
いつ、どこに返せばいい?返納の基本ルール
返納のタイミング
お守りやお札は、一般的にお受けしてから一年を目安に返納するのが良いとされています。
これは、新しい年を迎えるにあたり、神様のお力も新たにいただく「年ごもり」の考え方に基づきます。
そのため、多くの人が新しい授与品をお受けする「初詣」の時期に合わせて、古いものを持参し返納します。
もちろん、これはあくまで目安です。願い事が叶ったタイミングや、自分の中で一区切りついた時など、時期を問わずいつでも返納して構いません。
返納する場所
基本的には、お受けした神社に直接お返しするのが最も丁寧です。その神社の神様への感謝を伝えるのが本来の形だからです。
お参りをする際に、古い授与品を持参し、古札納所に静かに納めましょう。
その際、心の中で「一年間お見守りいただき、ありがとうございました」と感謝を伝えるのを忘れずに。
Q&A:旅行先でいただいたお守りはどうする?
A. 基本的には、近くの神社の古札納所にお返ししても問題ありません。
「旅行先でいただいたお守りを、返しに行くのが難しい…」
これは、多くの人が悩むポイントです。
もちろん、お受けした神社に直接お返しするのが理想ですが、それが難しい場合は、地元の氏神様など、近隣の神社の古札納所にお納めしても差し支えないとされています。
全国の神様は繋がっている、というおおらかな考え方ですね。
ただし、神社によっては「うちで授与したもの以外は受け付けません」という方針のところも稀にあります。心配な場合は、事前に神社の社務所に確認すると良いでしょう。
また、一部の神社では郵送での返納を受け付けている場合もありますので、公式サイトなどを確認してみてください。
まとめ:授与品を通じて、神様との絆をもっと深めよう

ここまで、御朱印やお守りをはじめとする、様々な授与品のいただき方から返納までを詳しくご紹介してきました。
一つひとつの授与品に込められた意味や、そこに宿る神様への敬意を知ることで、これまで何気なく手にしていた品々が、もっと愛おしく、ありがたいものに感じられるようになったのではないでしょうか。
いただく時も、お返しする時も「感謝」を込めて
授与品は、目に見えない神様とのご縁やご加護を、私たちの日常に繋いでくれる「コミュニケーションツール」のような存在です。
授与所でお受けする時には、「これからどうぞよろしくお願いします」という気持ちを。
毎日身につけたり、眺めたりする時には、「いつもお見守りいただきありがとうございます」という気持ちを。
そして、一年間の役目を終えてお返しする時には、「一年間、本当にありがとうございました」という感謝の気持ちを。
授与品との関わりの始まりから終わりまで、一貫して「感謝」の心を込めること。
それこそが、神様との絆をより一層深く、確かなものにしてくれる、何より大切な作法なのです。
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また、ご自身の興味に合わせて、次に訪れる神社を探すのも素晴らしい楽しみ方です。
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