信仰別に見る神社数ランキングTOP25(前編)トップ10には意外な神社も!

ふと町を歩いていると、神社の鳥居が目に入ることがありますよね。
「今年も初詣はどこに行こうかな」「旅行先で有名な神社に寄ってみよう」など、私たちにとって神社はとても身近な存在です。
でも、少しだけ思い出してみてください。あなたの近所にある神社の名前。「〇〇八幡神社」や「〇〇稲荷神社」、「〇〇天満宮」のように、同じ名前の神社がいくつもあることに気づきませんか?
実はこれ、偶然ではありません。
多くの神社は祀られている神様の信仰によって「系統」があり、同じ名前を持つ神社は、いわば「同じグループの系列店」のようなもの。それぞれに「総本社」となるルーツの神社が存在するのです。
「じゃあ、日本で一番店舗数が多い、つまり一番メジャーな神社の系統ってどこなんだろう?」
そんな素朴な疑問に答えるのが、今回の特集です。
この記事では、日本全国に存在する神社の数を信仰別に集計し、ランキング形式で一挙にご紹介します。
これを読めば、あなたがいつも何気なくお参りしている神社が、どんな歴史を持ち、どんな神様を祀る、巨大なネットワークの一員なのかが分かり、神社巡りが何倍も面白くなること間違いなしです!
なお、本ランキングのデータは、神社本庁が行った「全国神社祭祀祭礼総合調査」を基にしています。そのため、法人格を持たない小さな祠などは含まれていませんが、日本の神社の「勢力図」を掴むには最適なデータと言えるでしょう。
それでは、まずは日本の神社の中心ともいえる、栄光のTOP10から見ていきましょう!あなたの知っている神社は、果たして何位にランクインしているでしょうか?
【1位】八幡(はちまん)系統(7,817社)

(Wikimedia Commonsより)、CC BY-SA 3.0
ダントツの全国No.1!でも、祀られる神様は謎多きミステリアスな存在?
記念すべきランキング第1位に輝いたのは、全国になんと7,817社も存在する「八幡神社」でした! 2位の伊勢系統に3,000社以上の大差をつける、まさに圧巻のトップです。
鎌倉の鶴岡八幡宮や京都の石清水八幡宮など、誰もが知る有名な神社もこの八幡系統に属します。きっとあなたの町にも「八幡様(はちまんさま)」の愛称で親しまれる神社があるのではないでしょうか。
総本社(総本宮)は、大分県にある宇佐神宮です。
では、この日本一メジャーな神社には、一体どんな神様が祀られているのでしょうか。
祀られている神様: 八幡三神
八幡神社で主に祀られているのは、以下の三柱の神様で、これを総称して「八幡三神」と呼びます。
- 誉田別命 :第15代 応神天皇のこと。
- 比売神 : 宗像三女神 と呼ばれる三柱の女神様。
- 神功皇后 : 応神天皇のお母さん。
中心となるのは応神天皇ですが、実はここに八幡信仰の面白いミステリーが隠されています。
というのも、日本神話の『古事記』や『日本書紀』をいくら探しても、「八幡神」という神様の名前はどこにも登場しないのです。
もともと「八幡神」と「応神天皇」は別の存在でした。
しかし、平安時代に「八幡神が『私の正体は応神天皇である』とお告げをした」という伝説が宇佐神宮から広まり、同一の神様として祀られるようになった、という不思議な歴史を持っています。
なぜ日本一になった?武士からの絶大な支持
謎多き八幡神への信仰がこれほどまでに広がった最大の理由は、武士たちの守護神とされたことにあります。
八幡神は古くから「戦いの神」としての性格を持ち、特に源氏が氏神(一族の守り神)として深く信仰したことで、その名は全国の武士社会に轟きました。
鎌倉幕府を開いた源頼朝が鶴岡八幡宮を整備したことはあまりにも有名です。
武士が日本の実権を握る時代が長く続いたことで、彼らの守護神である八幡信仰も日本中に広まっていったのです。
主なご利益:
勝負運、出世開運、厄除け、安産・子育てなど
日本で最も多い神社でありながら、その中心となる神様のルーツには多くの謎が残されています。天皇であり、武士の守護神でもあるという、まさに日本の歴史を象徴するような神様と言えるでしょう。何かお願い事があるなら、まずはお近くの八幡様を訪れてみてはいかがでしょうか。
【2位】伊勢(いせ)系統(4,451社)

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数は2位でも格は別格!日本の神社の頂点に立つ最高神・アマテラスの聖域
第2位は、全国に4,451社を数える「伊勢系統」の神社です。
総本社はもちろん、三重県に鎮座する伊勢神宮。多くの日本人が「一生に一度はお参りしたい」と願う、特別な場所ですね。
伊勢系統の神社は「 神明社 」や「 神明宮 」といった名前で各地にあり、東京の「東京大神宮」が「東京のお伊勢さま」として親しまれているのも有名です。
数では八幡神社に及びませんでしたが、その格式においては全ての神社の上に立つ「 本宗 」、つまり別格のトップとされています。
祀られている神様: 天照大御神
伊勢神宮、そして伊勢系統の神社に祀られている中心の神様は、天照大御神。
日本神話に登場する太陽を司る女神であり、皇室の御先祖様(皇祖神)とされる、日本の神々の中でも最高位の存在です。
伊勢神宮は、この天照大御神を祀る「 内宮 」と、食物や産業の神様である 豊受大御神 を祀る「 外宮 」を中心とした、125社の宮社の総称。
正式名称は、ただ「神宮」というのが、その絶対的な立ち位置を物語っています。
神様自らが選んだ、約束の地「伊勢」
実は、天照大御神は最初から伊勢にいたわけではありませんでした。
もともとは宮中で天皇と共にお祀りされていましたが、「神の力が強すぎて畏れ多い」と感じた天皇の意向で、新たな鎮座地を探す旅に出ます。
そして長い旅の末にたどり着いた伊勢の地で、天照大御神は「この国にいたい」と神託を下しました。
つまり伊勢は、神様自らが「終の棲家」として選んだ、日本でも指折りの聖地なのです。
庶民の憧れ「お伊勢参り」が生んだ全国ネットワーク
皇室の祖先神ということもあり、かつて伊勢神宮への一般人の参拝や祈願は厳しく制限されていました。
しかしその制限が緩やかになると、江戸時代には庶民の間で「お伊勢参り」が一生涯の夢として大ブームに。
この熱狂が、伊勢信仰を全国へと広げる大きな原動力となりました。
主なご利益:
国家安泰、家内安全、開運招福、商売繁盛など
神社界の絶対的センターであり、日本の総氏神様ともいえる天照大御神を祀る神社系統。その格式の高さと神聖な雰囲気は、他の神社とは一線を画します。まずは身近な「神明社」にお参りして、伊勢の神様とのご縁を結んでみてはいかがでしょうか。
【3位】天神(てんじん)系統(3,953社)

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受験生の強い味方!でも、その始まりは日本三大怨霊のひとりだった?
第3位は、3,953社で全国に広がる「天神系統」です。「 天満宮 」という名前の方が、馴染み深いかもしれませんね。
総本社は京都府の北野天満宮と福岡県の太宰府天満宮の二社で、学問の神様として絶大な人気を誇ります。
受験シーズンには合格祈願の絵馬で境内が埋め尽くされる光景は、もはや日本の風物詩。きっとあなたも、学生時代にお世話になったことがあるのではないでしょうか。
そんな私たちに知恵とご利益を授けてくれる天神様ですが、その正体を知ると少し驚くかもしれません。
祀られている神様: 菅原道真
天神様の正体は、平安時代に実在した貴族であり、学者・政治家でもあった菅原道真です。1位の応神天皇(八幡神)と同じく、人間が神様として祀られているパターンですね。
道真公は、幼い頃から和歌や学問に驚異的な才能を発揮した、まさに「神童」。異例のスピードで出世し、ついには右大臣という国家の最高幹部にまで上り詰めました。
しかし、その才能を妬んだライバル・藤原氏の陰謀により、無実の罪を着せられて九州の太宰府へ左遷。その2年後、都への想いを胸に無念の死を遂げました。
天才の怒りが雷に!怨霊から学問の神へ
道真公の死後、都では異変が相次ぎます。
日照りや洪水といった天変地異が続き、さらには道真公を陥れた張本人たちが次々と謎の死を遂げたのです。
極めつけは、朝議の真っ最中だった御所に雷が落ち、多くの死傷者が出た「清涼殿落雷事件」。
人々はこれを「道真の怨霊の祟りだ!」と恐れおののきました。
この恐ろしい怨霊を鎮めるため、人々は道真公に「天満大自在天神」という神様の名前を贈り、京都に北野天満宮を建てて手厚く祀ったのです。これが天神信仰の始まりでした。
最初は恐ろしい祟り神でしたが、時が経つにつれて道真公が生前見せた並外れた才能が注目されるようになり、いつしか「学問の神様」として人々に親しまれるようになりました。
主なご利益:
学業成就、合格祈願、芸事上達、厄除け
無念の死を遂げた天才が、日本有数の祟り神(怨霊)となり、そして今では全国の受験生から愛される学問の神様へ。これほどドラマチックな背景を持つ神様は他にいないかもしれません。人生をかけた大勝負の前には、ぜひ天神様のご加護をいただきに行きましょう。
【4位】稲荷(いなり)系統(2,924社)

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朱色の鳥居が目印!ビジネスパーソンにも愛される身近な「お稲荷さん」
第4位には、全国に2,924社を展開する「稲荷神社」がランクインしました。
皆さんも「お稲荷さん」の愛称で、子供の頃から親しんできたのではないでしょうか。朱色に塗られた鳥居と、狛犬の代わりに鎮座するお狐様(キツネ)が特徴的ですね。
総本社は、京都府にある伏見稲荷大社。幾重にも連なる「千本鳥居」の幻想的な光景は、今や日本を代表する絶景として、海外からの観光客にも絶大な人気を誇っています。
祀られている神様: 宇迦之御魂神
稲荷神社に祀られているのは、宇迦之御魂神という神様です。
日本神話に登場する食物、特に稲の神霊であり、私たちの生活に欠かせない「食」を司る、とてもありがたい存在です。
「稲荷」という名前も、稲が育つ様子を表す「稲生り(いねなり)」が語源とされています。
お狐様は神様の使い
よく「お稲荷さん=キツネの神様」と勘違いされがちですが、実はキツネは神様そのものではなく、「神様のお使い( 神使 )」です。
なぜキツネが使いになったのかは諸説ありますが、宇迦之御魂神の別名が「 御饌津神 」であり、古語でキツネを「けつ」と呼んだことから「み-けつ-かみ」と結びついたという説や、稲穂が垂れる様子がキツネの尻尾に似ているから、といった説が有名です。
農業の神から商売繁盛の神へ!時代のニーズに応える柔軟性
もともとは五穀豊穣を願う農家の神様でしたが、時代が移り、商業が発展するにつれて、そのご利益もアップデートされていきました。
米がお金の代わりだった時代もあり、「稲が豊かに実る」ことが「豊かさ」の象徴とされ、農業だけでなく商工業の神様としても信仰されるようになったのです。
現代では、企業の経営者やビジネスパーソンからも「商売繁盛」の神様として篤い信仰を集めています。
時代のニーズに合わせてご利益の幅を広げてきた、世渡り上手な神様と言えるかもしれませんね。
主なご利益:
商売繁盛、五穀豊穣、家内安全、産業興隆
古くは農業の守り神として、そして現代ではビジネスの成功を願う人々の心の拠り所として、時代を超えて私たちに豊かさをもたらしてくれる神様。赤い鳥居を見かけたら、日々の糧への感謝と、仕事の成功を祈願してみてはいかがでしょうか。
【5位】熊野(くまの)系統(2,693社)

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神様も仏様も大集合!どんな願いも叶えてくれる神々のオールスタースポット
第5位にランクインしたのは、全国に2,693社ある「熊野神社」です。
総本社は和歌山県にある「 熊野三山 」。
「熊野本宮大社」「熊野速玉大社」「熊野那智大社」という三つの神社の総称で、世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部としても知られています。
熊野古道を歩いてお参りする神秘的なイメージがありますが、その最大の特徴は、祀られている神様の豪華なラインナップと、懐の深さにあります。
祀られている神様:スサノオ親子と神々オールスターズ
熊野神社で主に祀られているのは、日本神話のヒーロー・スサノオノミコトと、その両親であるイザナギ・イザナミという、まさに日本の根幹をなす神々です。
しかし、熊野のすごいところはそれだけではありません。
最高神・天照大御神や、サッカー日本代表のシンボルでおなじみの 八咫烏 など、数多くの神々が一緒に祀られているのです。まさに神様のオールスターチーム!
そのため、ご利益も非常にオールマイティで、延命長寿や商売繁盛、縁結びに安産祈願まで、どんな願い事にも応えてくれると言われています。
神と仏がタッグを組んだ「 権現 」信仰
熊野信仰を語る上で欠かせないのが、「神仏習合」という考え方です。
これは、日本の神様は、実は仏様が人々を救うために仮の姿(権現)となって現れたものだ、という思想です。
熊野の神々も「熊野権現」と呼ばれ、それぞれが有名な仏様(本地仏)と結びつけられています。
- 熊野の神様 ⇔ 有名な仏様
- イザナミ(熊野牟須美大神) ⇔ 千手観音
- イザナギ(熊野速玉大神) ⇔ 薬師如来
このように神道と仏教が融合したことで、熊野は全国から修験者(山伏)が集まる一大聖地となりました。
そして、彼らが全国を旅することで、熊野信仰は各地へと広まっていったのです。
主なご利益:
諸願成就(あらゆる願いが叶う)、延命長寿、縁結び、家内安全
日本の神様も仏様も一緒に祀る、まさにスーパーパワースポット。多くの神様・仏様がタッグを組んで力を貸してくれるので、人生で叶えたい大きな願い事がある方は、ぜひ熊野神社を訪れてみてください。
【6位】諏訪(すわ)系統(2,616社)

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神話では負け役?でも本当は日本最強クラスの「軍神」!
第6位は、全国に2,616社ある「諏訪神社」です。
「お諏訪様」の愛称で親しまれ、長野県にある諏訪大社が総本社。
7年に一度行われる勇壮な「 御柱祭 」は、全国的にも有名ですね。
この諏訪神社に祀られている神様は、神話の中では少し不憫な描かれ方をしていますが、実は歴史上、多くの武将から絶大な信仰を集めた「日本第一の軍神」とも称されるほどのパワフルな存在なのです。
祀られている神様: 建御名方神
諏訪神社の主祭神は、国造りの神・大国主の息子である建御名方神です。
日本の国土の支配権を天の神々に譲るか否かを決める「国譲り」の神話で、建御名方神は天の神々が送り込んできた最強の武神・ 建御雷神 に力比べを挑みます。
しかし、その勝負にあっけなく敗れてしまい、長野県の諏訪の地まで逃げて、そこに鎮まったとされています。
汚名返上!武士たちが崇めた「勝利の神」へ
神話のエピソードだけを見ると、少し頼りない印象を受けるかもしれません。しかし、これは中央政権(大和朝廷)の視点で描かれた物語。
諏訪地方に伝わる話では、建御名方神は土着の神々を打ち破ってこの地を平定した、非常に勇ましい神様として語り継がれています。
その武勇は広く知れ渡り、平安時代の名将・坂上田村麻呂が戦勝祈願をしたのをはじめ、鎌倉時代の元寇の際には龍神となって現れ日本を救ったという伝説も生まれました。
こうして建御名方神は「日本第一大軍神」として武士たちの篤い信仰を集め、諏訪信仰は全国へと広がっていったのです。
主なご利益:
勝負運、必勝祈願、国家安泰、五穀豊穣
神話での敗北から、日本最強の軍神へと華麗なる逆転を遂げた神様。仕事のコンペやスポーツの試合など、絶対に負けられない戦いを控えている方は、ぜひお近くの諏訪神社で「勝利」のパワーをいただいてみてはいかがでしょうか。
【7位】祇園(ぎおん)系統(2,299社)

画像:「Aufgang zum Yasaka-Schrein beim Bezirk Gion」撮影者:Bgabel at ウィキボヤージュ shared
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華やかな祇園祭の主役!その正体は最強の「疫病神」だった!?
第7位は、全国に2,299社を数える「祇園系統」の神社です。
総本社は、京都の夏の風物詩「祇園祭」で知られる八坂神社。古くから「祇園さん」の愛称で親しまれてきました。
きらびやかな山鉾が都大路を巡行するお祭りのイメージが強い祇園信仰ですが、そのルーツを辿ると、実は人々の「疫病への恐れ」と深く結びついていることがわかります。
祀られている神様:スサノオノミコト(牛頭天王)
八坂神社で祀られているのは、ヤマタノオロチ退治で有名な英雄神・スサノオノミコトとそのご家族です。
しかし、これは明治時代に神道と仏教が分けられてからのこと。
それ以前、祇園社と呼ばれていた時代の主祭神は、「 牛頭天王 」という仏教系の神様でした。この牛頭天王はスサノオと同一の神様(神仏習合)とされていますが、その性格はかなり荒々しいものでした。
なんと牛頭天王は、人々に疫病をもたらす恐ろしい神だと考えられていたのです。
祀り上げることで災いを防ぐ「御霊信仰」
「病気をもたらす神様をなぜ祀るの?」と不思議に思いますよね。
昔の人々は、疫病のような人知を超えた災いは、荒ぶる神々の仕業だと考えました。
そして、その神様を怒らせるのではなく、逆に手厚くお祀りすることでご機嫌を取り、災いを鎮めてもらおうとしたのです。
これを「 御霊信仰 」と言います。
日本三大祭りの一つである祇園祭も、元々は平安時代に都で大流行した疫病を鎮めるために始まった「 祇園御霊会 」という儀式でした。
つまり祇園祭は、最強の疫病神である牛頭天王(=スサノオ)の力をお借りして、夏の病気から人々を守ってもらうためのお祭りなのです。
主なご利益:
厄除け、病気平癒、商売繁盛、縁結び
華やかなお祭りの裏には、疫病という災いを神の力で乗り越えようとした、先人たちの切実な祈りが込められています。現代でいうパンデミックの終息を願うなら、この祇園の神様に祈りを捧げるのが最も効果的かもしれません。
【8位】白山(はくさん)系統(1,893社)

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夫婦喧嘩を仲裁した謎多き女神!縁結び・和解のスペシャリスト
第8位は、全国に1,893社ある「白山神社」です。
石川県、福井県、岐阜県にまたがる霊峰・ 白山 への信仰をルーツとし、石川県にある「 白山比咩神社 」が総本社です。
この神社に祀られているのは、とてもミステリアスでありながら、人間関係の修復、特に「縁結び」や「和解」において絶大なご利益をもたらしてくれるとされる女神様です。
祀られている神様: 菊理媛神
白山神社の主祭神は、菊理媛神という女神様です。
「くくり」という音が「(縁を)結ぶ・まとめる」という意味に通じることから、縁結びの神様として知られています。
そのご利益の由来となったのが、日本神話における菊理媛神の鮮烈な登場シーンです。
神話に一度だけ登場!謎の一言で大喧嘩を仲裁
日本の国生みを行った夫婦神イザナギとイザナミ。
妻のイザナミが亡くなった後、二人は黄泉の国(死者の世界)で再会しますが、そこで大喧嘩となり、離婚の危機を迎えます。
この絶体絶命の場面に、どこからともなくフワッと現れたのが菊理媛神でした。そして、夫イザナギに「何か」を耳打ちします。
すると、あれほど激昂していたイザナギは怒りを収め、二人は穏やかに和解することができたのです。
一体、菊理媛神は何を言ったのでしょうか?
実は、日本神話の原典である『日本書紀』にも、その「何か」の具体的な内容は書かれていません。
たった一度の登場、そして謎の一言だけで神々の大喧訪を解決してしまった、まさにスーパー調停役。
この逸話から、菊理媛神は縁結びや夫婦円満、さらには商談成立など、あらゆる「仲を取り持つ」ご利益があるとされています。
主なご利益:
縁結び、恋愛成就、夫婦円満、商談成立
神話に一度しか登場しないミステリアスな女神様。喧嘩してしまった恋人や家族、こじれてしまった仕事相手との関係を修復したい時、この女神様の「謎のささやき」の力が、きっとあなたの背中を押してくれるはずです。
【9位】日吉(ひよし)系統(1,724社)

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比叡山の神様が仏教と最強タッグ!猿を神の使いとする厄除けの社
第9位は、全国に1,724社のネットワークを持つ「日吉神社」です。
「 日枝神社 」や「 山王社 」という名前で知られていることも多いですね。
総本社は滋賀県、比叡山の麓にある「 日吉大社 」です。
この神社の最大の特徴は、日本仏教の一大拠点である「比叡山延暦寺」と深い関係を結び、その影響力によって全国区の有名な神様へと飛躍を遂げた点にあります。
祀られている神様: 大山咋神
日吉神社の主祭神は、大山咋神という山の神様です。
もともとは比叡山一帯を守る、地域に根差したローカルな神様でした。
その運命が大きく変わるのが、平安時代。伝教大師・最澄が比叡山に天台宗の総本山である延暦寺を開いたときでした。
最澄は、寺院を建立するにあたり、その土地の主である大山咋神を延暦寺の「守護神」として手厚く祀ったのです。
仏教人気にあやかって全国デビュー!
その後、天台宗は朝廷や貴族の支持を得て、日本を代表する仏教宗派へと大きく発展していきます。
すると、その守護神である大山咋神(日吉の神様)への信仰もセットで全国各地へと広まっていきました。
まさに、仏教界のスーパースター・延暦寺とタッグを組んだことで、ローカルな神様が全国デビューを果たした、というわけです。
神の使いは「 神猿 」
日吉・日枝神社を訪れると、狛犬ではなくお猿さんの像が置かれていることに気づくかもしれません。
これは、猿が日吉の神様のお使い(神使)とされているためです。
「さる」という音は「魔が去る」「勝る(まさる)」にも通じることから、特に厄除けや勝負運にご利益があると言われています。
主なご利益:
厄除け、方除け、商売繁盛、家内安全
比叡山という仏教の聖地と手を結び、全国的な知名度を獲得した神様。人生の大きな厄災から身を守りたい、悪い方角への引っ越しが不安、といった悩みがある方は、魔を「去る」力を持つ神猿(まさる)さんのいる日吉神社でご祈願してみてはいかがでしょうか。
【10位】山神(やまがみ)系統(1,571社)

2023年9月管理人撮影
総本社は存在しない!?日本人の心のふるさと、自然崇拝から生まれた神々
TOP10の最後を飾るのは、全国に1,571社ある「山神社」です。
「やまのかみしゃ」「さんじんじゃ」など、様々な読み方で親しまれています。
この神社の最大の特徴は、なんと総本社が「不明」であること。
特定の神社から全国に広まったのではなく、日本各地で自然発生的に生まれた、非常にプリミティブな信仰形態なのです。
祀られている神様:山の神様オールスターズ
その名の通り、山神社では日本の山々を司る様々な神様が祀られています。
代表的な神様は以下の通りです。
- 大山津見神 : 全国の山の神様を束ねるボス的な存在。
- 木花咲耶姫命 : 富士山の神様としても有名な美しい女神。
- 大山咋神 : 9位の日吉神社でも祀られる比叡山の神様。
どの神様が祀られているかは神社によって異なるため、訪れる前に調べてみると面白い発見があるかもしれません。
日本人の信仰の原点「山岳信仰」
なぜ総本社が存在しないのでしょうか?
それは、四方を山に囲まれた日本において、山そのものを神聖な存在として崇める「山岳信仰」が、古来より人々の間に根付いていたからです。
山は、時に恵み(水、食料、鉱物)をもたらし、時に災い(噴火、土砂崩れ)をもたらす、人知を超えた偉大な存在でした。
人々はそれぞれの土地の山に神が宿ると信じ、自然への畏敬の念から神社を建てて祈りを捧げました。
そのため、「ここが始まり」という単一のルーツはなく、日本中で同時多発的に「山神社」が生まれていったのです。
まさに、山神社は日本人と自然との深いつながりを象生徴する、私たちの信仰の「心のふるさと」のような場所と言えるでしょう。
主なご利益:
五穀豊穣、安産・子授け(木花咲耶姫)、産業発展、林業・鉱業守護など(祀られる神様によって様々)
特定の教祖や起源を持たず、日本人のDNAに刻まれた自然への祈りから生まれた神社。ご利益も祀られる神様によって多種多様です。あなたの欲しいご利益に合った山の神様を探して、お参りしてみるのも楽しいかもしれませんね。
【前編のまとめ】TOP10に見る日本の神社の縮図
さて、日本の神社数ランキング、1位から10位までをご覧いただきましたが、いかがでしたでしょうか?
【1位〜10位までのランキング一覧】
- 八幡系統(7,817社)
- 伊勢系統(4,451社)
- 天神系統(3,953社)
- 稲荷系統(2,924社)
- 熊野系統(2,693社)
- 諏訪系統(2,616社)
- 祇園系統(2,299社)
- 白山系統(1,893社)
- 日吉系統(1,724社)
- 山神系統(1,571社)
こうして見ると、天皇や武家といった時の権力者と結びついて広がった八幡や伊勢。
人々の暮らしに寄り添ってきた稲荷や祇園。
そして神道と仏教が融合した熊野や日吉など、日本の歴史そのものを映し出すような、錚々たる顔ぶれが並びましたね。
個人的に少し意外だったのは、10位に特定の総本社を持たない山神信仰がランクインしていたことです。
これは、有名な神様への信仰だけでなく、私たち日本人が古来より抱いてきた自然そのものへの畏敬の念が、今なお大切に受け継がれている証なのかもしれません。
さて、ここまででも非常に濃い内容でしたが、ランキングはまだ続きます。
11位以下には、奈良の都の守護神や、日本最強の武神、海の安全を守る神様、そして七福神でおなじみのあの神様まで、まだまだ個性豊かな神々が控えています。
あなたの身近な神社や、知る人ぞ知るパワースポットも登場するかもしれません。
果たしてあなたの氏神様はランクインしているのか?ぜひ後編もお楽しみに!
このランキングの記事を読むことで、神道、特に神社神道にはどのような信仰があるのか、理解の一助になれば幸いです。








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